慰謝料を支払ってもらうためにはどうすればいいのか

慰謝料

離婚をするとき、浮気や暴力が原因であれば有責配偶者は慰謝料を支払わなければいけません。たとえ有責配偶者が自己破産をしたとしても、慰謝料は税金や養育費と同じく非免責債権となりますから、返済の義務が消えないことになっています。ですから、絶対に支払わなければいけないものです。でもそう決まっているのに未払いとなることは珍しくなく、データによるとおよそ半数が慰謝料の支払いを途中でやめてしまっています。

それなら、有責配偶者にちゃんと慰謝料を支払ってもらうためにはどうすればいいのかというと、最初の段階では支払いを促すための督促を行います。督促には強制力がありませんが、目に見える形で支払いを迫ることで心理的に作用する効果があります。督促をしたという事実を客観的に証明できるよう、内容証明郵便を使うことが多いです。文面は、慰謝料の未払いをしている事実と、支払いをしなければ次の段階に進むと言う警告を書いておきます。督促状の書き方がわからないというのであれば、弁護士に相談をして作成すると良いでしょう。

それでも相手が何も反応しないときには、督促状で予告したとおり次の段階へと進みます。具体的に何をするのかというと、財産や給料の差し押さえです。ただ、財産権というのは憲法で保障されているものですから、簡単に認められるものではありません。有責配偶者が慰謝料を支払う義務があることを証明する書類を提出する必要があります。注意点としては、ここで提出して認められるのは法的な書類ですから、離婚協議書のような私的な書類では役に立ちません。法的な書類として認められるのは、調停証書や裁判をしたときの判決書、そして公正証書です。公正証書に法的な効力を持たせるためには、滞納すれば差し押さえを強制執行すると言う文言を入れておく必要があります。裁判を起こさず離婚をするときに未払いが起きるかもしれないという可能性を考えて、費用はかかりますが公正証書をつくっておくべきです。

さて、裁判所に差し押さえの強制執行をしてもらうことを検討する時、まず相手に財産があるのかを確認しましょう。財産があるならば誰が誰に支払うのか、金額がいくらなのかということを記した債権名義と、強制執行の許可証といえる執行文を作成してもらわなければいけません。これは公正証書の作成をした公証人、あるいは裁判所の書記官がやってくれます、そして債権名義は有責配偶者に記録が残る形で送ります。

そこから、必要な書類を揃えて裁判所に差し押さえの申立をして、受理されたならば命令が出されます。すると預金・給料・動産・不動産の差し押さえが行われます。現金は法律で認められた範囲内でそのまま受け取ることができますが、動産・不動産であれば競売に出されて代金を受け取る形になります。

ちなみに、未払いが起きるケースでは有責配偶者がなくなったために支払えなくなったということもあります。そうなれば、支払い義務は相続人に引き継がれるので、たとえば再婚した相手に請求できます。ただ、そういうときは相続放棄をされたら支払の義務はなくなりますから確実に回収できる可能性は低いです。