内縁の妻の慰謝料請求

慰謝料

いわゆる内縁で知られる事実婚は、正式な法律用語ではないものの、結論をいえば貞操義務が認められることから浮気となれば慰謝料が発生することになります。事実婚は、何らかの事情で婚姻届を出していない状態を指しますが、事実上婚姻状態とみなされます。

つまりパートナーが浮気をすれば、婚姻届を出していないことから離婚はありませんが、慰謝料の請求自体は可能というわけです。実は法律用語ではない事実婚に明確な定義はないですが、お互いに婚姻の意思があって夫婦として共同生活をしていれば、十分に内縁関係が認められます。

慰謝料の請求などに見られる法律による保護は、婚姻届を出していなくても効力を発揮します。とはいえ、全ての面において法律婚と同等の効力が発揮されるわけではないので、その点は注意が必要ですし要確認となります。余談ですが、相続人としての効力は婚姻の届け出がないと認められないので注意です。

浮気に関する責任の追及については、パートナーに貞操義務違反があれば法律婚と同等の追及と、慰謝料の請求が可能となります。これはパートナーの浮気相手に対しても同様で、事実婚を知っていたという前提で故意に、あるいは事実を知らなくても知る機会があると認められれば請求できます。
いずれにしてもまずは証拠が肝心で、パートナーが貞操義務違反を犯している事実と、その相手についての証拠集めが必要です。

この為、不審な様子を感じたらパートナーの行動に関する記録を残したり、必要に応じて探偵などのプロに相談をおすすめします。事実婚でもう1つ注意が必要なのは、その状態についても証明する証拠が必要になることです。

慰謝料の請求相手がパートナーであれば、法律婚における戸籍による婚姻関係のように、戸籍の代わりとして証明になる証拠を集めることが不可欠です。住民票には夫や妻、同居人といった続柄の記載がありますが、夫(未届)や妻(未届)の記載があるものが証拠の1つとなります。

それともう1つ、内縁関係で社会保険における扶養に入っている場合は、健康保険証もまた有力な証拠です。契約書類も証拠として効力を発揮しますから、例えば契約者と同居人の名前の記載がある賃貸借契約書などが役立ちます。

事実婚で浮気による慰謝料の請求をするには、生計を共にしている証拠が必要になりますが、家計簿をつけておいたりレシートなどを残しておくと良いでしょう。勿論、普段の何気ない記録に残るやり取りも証拠の1つになりますから、電話における通話を録音したり、メールやLINEなどの履歴も残しておくのがおすすめです。

浮気相手に請求する場合は、これらの証拠に加えて故意や過失が認められる証拠が必要となります。
当然ながら内縁関係を認めてもらうところがスタートラインになるので、法律婚よりも請求のハードルが高いのは確かです。しかし請求する権利があるのは間違いありませんから、内縁関係だとしても諦める必要は全くないです。