1. 不貞行為について – 法定離婚原因

離婚

1. 不貞行為

簡単に言うと浮気のことで、法律的には「配偶者のある者が、その自由意志に基づいて配偶者以外の者と性的関係を持つこと」を言います。夫婦はお互いに貞操義務を負っているので、一方がこの義務を破棄した場合は、他方が不貞行為を理由に離婚を請求することができます。

1回の浮気じゃダメなの?

一度きりの不貞行為で離婚を認めた判例はありません。離婚の請求ができないというわけではなく、一度きりの場合ですと、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として扱われてしまう可能性があります。裁判所の考える不貞行為とは、肉体関係を伴う継続的な男女関係であると考えてよいと思います。

裁判におけるポイントとしては、不貞行為によって夫婦関係が破綻したかどうかになります。例えば、既に夫婦関係が破綻しており、その後配偶者の不貞行為が発覚しても、それは不貞行為による夫婦関係の破綻とは見なされない場合があります。

不貞行為の証拠

不貞行為で離婚訴訟を行う場合は、原告(訴える側)がその事実を立証する必要があります。そのためには証拠が必要です。証拠がない場合、あるいは証拠不十分である場合は、請求棄却の可能性があり、当然離婚は認められません。仮に離婚自体は認められても、慰謝料の額に大きく影響します。

有効な証拠

証拠は誰の目から見ても明らかなものが有効で、浮気を裏付けるものが前提となります。有利な証拠として代表的なものといえば、ホテルなどの宿泊施設を出入りする様子を撮影した写真やビデオ等です。仮に浮気相手と共に食事をしている姿を10回撮影しても、それは浮気の証拠とはみなされないでしょう。

Eメールは不貞(浮気)の証拠になるか?

最近ではパソコンや携帯電話によるEメールのやり取りをから浮気が発覚するケースも多いと思いますが、メールによる浮気相手との一連のやり取りを証拠として採用できるかと言えば少々疑問です。単純に交際していたという事実を立証するには申し分ないのですが、浮気の裏付けとは見なされない可能性があるからです。また極端な話をすれば、Eメールは原告にとって有利に働くように、内容を改ざんすることも可能です。「無いよりはまし」という程度と考えておいた方がよいでしょう。

ただし写真やビデオ等で不貞の証拠が得られ、なおかつメールの送受信記録も保存していれば、おおよその交際期間が特定できます。例えば×年の9月に写真やビデオ等による証拠が取れ、その前年9月からのメールの送受信記録が保存されていれば、少なくとも1年間は「肉体関係を伴う継続的な男女関係」であったという推測も成り立ちます。当然の事ながら証拠はたくさんあった方が有利なので、証拠になり得そうなものを発見したら、何らかの方法で集めておく事が必要です。