婚外子の認知と相続権

相続

近年では結婚した後にパートナーに実は隠し子がいて問題になったと言うケースも非常に増えてきています。入籍していない男女の間に生まれた子供のことを婚外子と呼んでいますが、このような場合には出生届けを出した後には母親の戸籍に入ることになります。

父親が認知をしないようであれば、たとえ血がつながっていようとも法律的には親子の関係が成立する事はありません。パートナーに何人隠し子がいたとしても法律上は赤の他人になるのです。しかし父親が認知しているとなると、法律的には親子関係が生じることになります。その一方で様々なトラブルが発生することも考えられるため、婚外子がいることによって起こり得るトラブルについて、いくつか把握しておくことが大切です。

まず第一に考えられるトラブルとしては、養育費の支払い義務が今後も続いていくのかと言う点です。親子間の扶養関係は金銭の支払いで消滅するわけではなく、一般的には養育費は子供が20歳になるまでは払い続けるものだとされています。それ以外にも婚外子が病気にかかり支援が必要だと言う場合には、何らかの支援をしなければならない義務が発生する可能性も考えられます。

未成年の子供の養育費については、事情が変更することで金額が変わることもあるため、現在の取り決めのままの状態で、将来的に増えないわけではありません。そして二つ目のトラブルとしては、子供の母親と不倫関係に発展する可能性が考えられます。

現在は結婚していて婚外子の母親とは何も関係がないと言われたとしても、その子供の親であることには変わらず、何かしらの連絡手段は持っているはずです。どちらか一方から連絡をするなどして、何かの拍子に再度男女の関係になる可能性もゼロとは言い切れないわけです。

そして三つ目に挙げられるものが婚外子に相続権が発生するかどうかと言う点です。万が一子供を認知している場合には、たとえそれが隠し子であったとしても相続権が発生するのです。以前までは相続するにしても実施の半分しか受け取ることができないと定められていたのですが、民法が改正されて現在においては実施と同じ額の分を受け取る権利を有しています。

亡くなった後に突然現れ、相続の権利を主張したとしても、それを拒否することはできないと覚えておきましょう。このように起こり得るトラブルがいくつかあることがわかります。これらはあくまでも可能性があると言う話ではあるものの、場合によってはこのような問題が待ち受けているかもしれないと言うことを頭に入れておきましょう。

婚外子のいる男性が悪い人だというわけではなく、相続問題を取り扱う弁護士にとっては、このような存在はそれほど珍しいものではありません。隠し子がいることが絶対に嫌だと言う場合には、結婚する前にパートナーの隠し子の有無はしっかりと確認することが求められます。

相手に直接聞かなくても確認する方法があり、その方法が相手の戸籍を調べる方法です。隠し子がいれば認知した年月日や認知した子供の氏名、住所等が戸籍に記載されているはずです。気になる人は相手の戸籍を確認することが求められます。