不貞行為(浮気)と証拠について

不貞行為と証拠 浮気調査

不貞行為

簡単に言うと浮気のことで、法律的には「配偶者のある者が、その自由意志に基づいて配偶者以外の者と性的関係を持つこと」を言います。夫婦はお互いに貞操義務を負っているので、一方がこの義務を破棄した場合は、他方が浮気を理由に離婚を請求することができます。

1回の浮気じゃダメなの?

一度きりの不貞行為で離婚を認めた判例はありません。離婚の請求ができないというわけではなく、一度きりの場合ですと、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として扱われてしまう可能性があります。裁判所の考える不貞行為とは、肉体関係を伴う継続的な男女関係であると考えてよいと思います。

裁判におけるポイントとしては、不貞行為によって夫婦関係が破綻したかどうかになります。後述しますが、既に夫婦関係が破綻しており、その後配偶者の不貞行為が発覚しても、それは不貞行為による夫婦関係の破綻とは見なされない場合があります。

証拠について

不貞行為で離婚訴訟を行う場合は、原告(訴える側)がその事実を立証する必要があります。そのためには証拠が必要です。証拠がない場合、あるいは証拠不十分である場合は、請求棄却の可能性があり、当然離婚は認められません。仮に離婚自体は認められても、慰謝料の額に大きく影響します。

有効な証拠

証拠は誰の目から見ても明らかなものが有効で、浮気を裏付けるものが前提となります。有利な証拠として代表的なものといえば、ホテルなどの宿泊施設を出入りする様子を撮影した写真やビデオ等です。仮に浮気相手と共に食事をしている姿を10回撮影しても、それは浮気の証拠とはみなされないでしょう。

Eメールは不貞(浮気)の証拠になるか?

最近ではパソコンや携帯電話によるEメールのやり取りをから浮気が発覚するケースも多いと思いますが、メールによる浮気相手との一連のやり取りを証拠として採用できるかと言えば少々疑問です。単純に交際していたという事実を立証するには申し分ないのですが、浮気の裏付けとは見なされない可能性があるからです。また極端な話をすれば、Eメールは原告にとって有利に働くように、内容を改ざんすることも可能です。「無いよりはまし」という程度と考えておいた方がよいでしょう。

ただし写真やビデオ等で不貞の証拠が得られ、なおかつメールの送受信記録も保存していれば、おおよその交際期間が特定できます。例えば×年の9月に写真やビデオ等による証拠が取れ、その前年9月からのメールの送受信記録が保存されていれば、少なくとも1年間は「肉体関係を伴う継続的な男女関係」であったという推測も成り立ちます。当然の事ながら証拠はたくさんあった方が有利なので、証拠になり得そうなものを発見したら、何らかの方法で集めておく事が必要です。

別居後の浮気(不貞)

少々ややこしい話になりますが、相手の浮気によって夫婦関係が破綻したというのであれば、これは立派な浮気であるとみなされ、不貞行為が離婚理由となります。

しかし単純に「夫婦仲が悪い」とか「姑との関係がうまくいかない」などの理由によりAとBが別居し、その後Bが浮気をしても、これは不貞行為とみなされない場合があります。それはBが浮気をするよりも前に、既に別居していることによって婚姻生活が破綻しているとみなされてしまうからです。

この時、離婚理由は「不貞行為」ではなく「婚姻を継続しがたい重大な事由」と見なされる可能性が高く、離婚理由が「性格の不一致」などと同じように「どちらにも非がある」という様に捉えられてしまいます。

例えばAがBに対し慰謝料を請求したい場合、「不貞行為」と「婚姻を継続しがたい重大な事由」では慰謝料の額が変わってきます。一般的に不貞行為の方が高額になると言われております。しかしBはなるべく金銭を支払いたくありません。そこでBは、別居前から浮気をしていたのにもかかわらず、適当な理由をつけて別居し「既に婚姻生活は破綻していた」と主張するケースもあるのです。

つまり、あなたが不貞行為として相手を訴えたいと思っているのでしたら、「浮気をする前から婚姻生活は破綻していた」と言われないようにする必要があるのです。そのようなことを言われないために、また不貞の証拠を集めるためのポイントを幾つか挙げてみました。

  • 自分から離婚を切り出さない
  • たとえ夫婦喧嘩をしても離婚は口にしない
  • 離婚届には署名押印しない
  • 夫婦喧嘩をしても暴力を振るわない
  • 完全な家庭内別居の状態にしない
  • 不貞行為の証拠が集まるまでは別居しない