― 特定相手方情報の提供禁止と通知制度の新設 ―
令和8年3月10日、ストーカー被害の未然防止を目的として「ストーカー行為等の規制等に関する法律」の改正が施行されました。近年、ストーカー行為は巧妙化しており、第三者から入手した情報が被害の拡大につながる事例が問題となっています。今回の改正では、被害者の安全確保を一層強化するため、情報提供の規制や警察の権限に関する重要な制度が新たに整備されました。
特定相手方情報の提供禁止(第6条)
改正法における最大のポイントは、第6条の見直しです。従来から、ストーカー行為を行うおそれがある者に対し、被害者の氏名や住所などの情報を提供することは禁止されていましたが、今回の改正により、これらの情報は「特定相手方情報」として明確に位置付けられました。
「特定相手方情報」には、氏名や住所に限らず、勤務先や通学先、避難先、電話番号、メールアドレス、SNSアカウント、使用車両の情報など、被害者の所在や生活状況を特定し得る幅広い情報が含まれます。これにより、第三者が提供する情報によってストーカー行為が助長されることを防ぐ狙いがあります。
警察による通知制度の新設(第6条第2項)
今回の改正では、新たに第6条第2項が設けられました。警告や禁止命令を受けた加害者に対して、第三者が被害者の情報を提供するおそれがあると警察が認めた場合、警察本部長等はその第三者に対し、「情報提供先がストーカー行為を行うおそれがある者である」旨を通知し、情報提供を行わないよう求めることができます。
この制度は、探偵業者をはじめとする情報保有者が、意図せずストーカー行為に加担してしまうことを防ぐための重要な仕組みです。また、通知を受けた者には、その内容をみだりに第三者へ漏らさない義務も課されます。
探偵業者への影響
探偵業者は、依頼者から所在確認や人物調査の依頼を受ける立場にあるため、今回の法改正の影響を強く受けます。ストーカー行為を行うおそれがある者に対して特定相手方情報を提供した場合、探偵業法に基づく営業停止などの行政処分の対象となる可能性があります。また、その情報がストーカー行為に利用された場合には、幇助として刑事責任を問われる可能性も否定できません。
当事務所では、法令遵守を徹底し、依頼内容の適法性を慎重に確認したうえで調査を実施しております。ストーカー被害に関するご相談や調査の適法性についてのご不安がございましたら、どうぞ安心してお問い合わせください。

