不倫をしている側から離婚の請求は可能か?

離婚の請求 法律知識

不倫関係の婚約は可能か?とは逆のケースとして、「好きな人ができたから離婚して欲しい」と配偶者に対し離婚を求めた場合はどうなるのでしょうか?

答え、離婚できません。
夫婦関係を破綻に導いた者のことを「有責配偶者」と呼ぶのですが、有責配偶者からの離婚請求は認められないことになっています(※1)。
有責配偶者から離婚を求めると、不貞行為(不倫関係)を続けていたことを暴露するようなものなので、離婚どころか慰謝料請求の対象となってしまいます。

ただし最高裁は昭和62年、有責配偶者からの離婚請求を、かなりの厳しい制約を付けた上で認めています。

これは夫が愛人と性的関係を持ち、その愛人と同居して生活を始めてから36年経過した後に、妻へ離婚の請求したというケースです。
これに対し最高裁は下記3点を理由に、例外的に離婚を認めました。

  • 別居期間が長期間であった
  • 離婚により無責配偶者(妻)が過酷な状況に追い込まれない
  • 未成年の子供がいない

有責配偶者からの離婚請求を認めないことは、かえって当事者に不都合をもたらすという考え方に変化してきており、有責配偶者からの離婚請求は原則として認めないとしながらも、上記の3点(別居期間は7~8年)を満たすことにより、離婚を認める傾向になりつつあります(※2)。

※1 「有責主義」
⇒この様な考え方を「有責主義」といいます。婚姻関係が破綻し回復の見込みのない状態であっても、有責配偶者からの離婚請求を認めるべきではない、という考え方です。

※2 「破綻主義」
⇒この様な考え方を「破綻主義」といいます。婚姻関係が破綻し回復の見込みのない状態であれば、離婚原因がどちらにあろうとも離婚は認めるべきだ、という考え方です。