離婚協議書の公正証書化

離婚協議書の公正証書化 離婚

離婚後の金銭問題については「いくらもらえるか」より「きちんと支払われるのかどうか」の方が重要な問題で、厚生労働省の調査によると、養育費がきちんと支払われていないという世帯は約7割にも上るのだそうです。
書面を取り交わすことなく口約束のみで離婚をしてしまいますと、特に専業主婦の方などは金銭面において圧倒的に不利な立場に立たされます。より早く離婚をし、新しい環境で生活をしたいところでしょうが、新たに生活をしていく上でお金のことも重要な問題です。そのためには双方できちんと話し合いをし、お金のことについても合意がなされた上で離婚することが賢明であると思います。
尚、公正証書の作成には夫婦の合意が必要なため、どちらか一方が勝手に公正証書を作成することができません。代理人として配偶者を立てることもできません。

離婚に関する公正証書を「離婚給付等契約公正証書」といい、通常は以下の条項が入ります。

  • 離婚の合意
  • 親権者と監護権者の定め
  • 子供の養育費
  • 子供との面接交渉
  • 離婚慰謝料
  • 離婚による財産分与
  • 住所変更等の通知義務
  • 清算条項
  • 強制執行認諾条項

公正証書で取り交わした事項が守られなかった場合、守らなかった方は「強制執行」という形で、裁判所から財産や給料の差し押さえられてしまいます。(公正証書の中に「強制執行されても異議ありません」という一文が入っていることが必要。※強制執行認諾条項)

また公正証書を作成する際には「民法第754条を適用しない」という一文を入れておくことが重要です。第754条は「夫婦間の契約の取消権」についての条文であり「夫婦間で取り交わした契約は、婚姻中いつでも夫婦の一方からこれを取り消すことができる」とされているため、公正証書で取り交わした文書も破棄することが可能だとも解釈できます。そのための措置として、上記の一文を入れておくと良いでしょう。