コロナで離婚は本当に増えたのか?

2020年ごろにホームに蔓延したコロナウィルスは、国民に様々な影響を与えました。仕事を失った人や収入が減った人がいる一方で、結婚している人の中には離婚をする人も増えたと言われています。そのようなニュースは度々流れていましたが、その理由の1つは家にいる時間が長くなったことです。

今まで外に行って仕事をしていた人も自宅待機をせざるをえなくなりその結果夫婦間に軋轢が生じだと言われています。確かに、それが原因で離婚した夫婦がいるのは間違いありません。しかしデータを見てみると、実際には離婚は減少していることがわかりました。コロナが蔓延し始めた頃は、ニュースなどで話題性の1つとして離婚が増加していることを取り上げていましたが、1年単位で見ると実は減少していることがわかっています。数で言えば、例年と比べても一万組ほど減少しているのが現実です。

このように、数が減少している理由があるとすれば、やはり経済的な不安が大きいからでしょう。不貞行為や暴力が理由で別れる場合等を除き、金銭的な不安がある場合にはなかなか相手と別れるようなことを考えないはずです。コロナウィルスが蔓延してから時代は大きく変化しています。今まで当たり前のようにできた仕事もできなくなっているのが現実でしょう。実際にオフラインだった仕事がオンラインで行われるようになり、新しい仕事ができた一方で多くの仕事が失われている現実があります。

このような時代の移り変わりの時に、何か新しいことをスタートしたり何かにピリオドを打つのはとても勇気がいることです。もちろん、自宅にいる時間が増えたことで関係が悪くなったケースはあるかもしれませんが、それ以上に不安を抱えている人が多いため、別れたいと思っていても別れないように先延ばしにしている夫婦も多いことがわかります。

結婚する場合や離婚する場合などは、非常にエネルギーが要るものです。このエネルギーは、通常の生活を送っている延長上にはなかなか湧き出てきません。何か自分を動かす大きな力や新しいことをスタートするときの安心感がなければ決断することができないのです。そのきっかけの1つが、金銭面で心配がなくなり自力で生活できることでしょう。

そのようなニュースが広まったのは、マスメディアの報道の仕方にも問題があると言えます。マスメディアの報道は、話題性のある内容を取り上げることで、視聴率を獲得していくわけです。人々が興味深いと感じるニュースでなければ、実際に報道する事はありません。

そして報道する時も、極端な報道の仕方をするためそのニュースを見た人が事実誤認をしてしまうわけです。結果的に、別れる夫婦が増えていないのに増えたと信じてしまう人が多くなりました。

冷静に考えれば、自宅に長くいることが原因だったとしても、多くの会社では2020年の6月位までには自宅待機の期間が終わっているはずです。このように考えれば、自宅待機が原因で別れる夫婦は少ないと言えます。